本と友人
週末、大学時代の友人と遊んだ。
彼女とは年に2〜3回ほど会う仲で、社会に出てからこの頻度で会うのは、じつは結構すごいことなんじゃないかと思う。
電車を乗り継いで、彼女の住む街まで40分ちょっと。
駅前には大きなスーパーに、商店街。個人商店や、おしゃれなカフェ、レトロな喫茶店、味わい深い大衆居酒屋が軒を連ね「もしもここに住んでいたら、エンゲル係数があがりそうだな」と訪れるたびに思う。街を作るゲームがあったら、きっとこの街をモデルにするだろう。
彼女とはだらだらと近況や最近読んだ本についておしゃべりしながら、散歩をし、喫茶店に入ってまた話すのがいつものコースだ。
でも今回は、お互いに本を贈りあうことになった。私は好きな児童文学を。彼女からは、この本をもらった。
内田百閒の『冥土』を読んだあとのような、ぼうっとする読後感が心地よい小説だった。内容はファンタジーというか、幻想小説のようなのに、雨上がりの土のにおいが漂ってきそうな五感を刺激する文体は、著者の力量なのだろうか。季節と季節の合間に読み返したくなりそう。
余談だけれど、本作の主人公・綿貫が、高校時代に読んでいた漫画『ホリック』の主人公と同じ苗字で(漢字は違うが)、時折マンガの彼の姿で想像してしまったのだった。
良い本をもらったなぁ。